「…咲耶、あの話、覚えてて。試合終わったら俺、もう一度ちゃんと言うから。」

あの話って…告白してくれたこと?

夏川にはきっとバレてるはずなのに。

あたしが一ノ瀬君のこと、好きだってこと。

あたしに好きな人がいるってこと。

「どうして、あたしなの?あたしなんてデカイし可愛くもないし…」

夏川はいい男友達だってずっと思ってたし、夏川もあたしのこと、そう思ってるって思ってたから。

「咲耶はもっと自分に自信持てよ。」

そんなの持てないよ。

あたしは昔から自分に自信なんてひとつもない。

見た目と反して中身は小ちゃくて、ジメジメしててうじうじ考えちゃうし。

唯一の自信になりそうだったバスケだって怪我してだめになっちゃって。

「夏川はあたしのこと、わかってないよ…」

つい口をついて出た言葉。

この言葉がどれだけ夏川を傷つけるかわかってるのに。

夏川の優しさをこんな風にしか言えない自分が嫌になる。

「だから知りたいって思うんだよ。俺、咲耶のこと本気で好きだから。」