二年生の愛奈先輩が広告を取り出した。

「へえ、cielかあ、聞いたことないわ。」

「インディーズなんですけどすっごくかっこいいんです。普段はmoonlightっていうカフェバーでやってて…」

「おーいマネさーん!テーピングしてー!」

休憩していた葉先輩がこっちにやってきて、おしゃべりは終わり。

このあと、あたし本当に一ノ瀬君とお祭り行くのか…

なんだか実感湧かない。

「咲耶ちゃん、巻きすぎ!血が!血が止まっちゃうから!」

「えっ?あ、すみません!すみません!!」

いつのまにかテーピング巻きすぎて葉先輩の足大根みたいになっちゃってた。

今は部活に集中しなきゃ!



練習が終わり、体育館を出たところであたしは足を止めた。

「咲耶、お疲れ。」

ちょうど同じく反対側のドアから出てきたのは夏川だった。

この前からなんとなく気まずくて話してなかった。

「おつかれさま…」

「あのさ、さっき聞こえちゃったんだけど咲耶、夏祭り…その、一ノ瀬君と行くの?」

そうだ、あたし夏川には友達と行くとしか言ったなかったんだっけ。

だけど一ノ瀬君は友達だ。

「うん、あとくるみと川上君も行くよ。」