友達、間違っていないよね。

あたしと一ノ瀬君は友達。

いや、クラスメイト?

「そっか、…なら夏休みさ、どこか行かない?」

「へ?」

「合宿終わったら、二人でどこか行こう。それから返事、考えて。」

夏川は真剣な表情。

あたしが返事をする前にウォーターサーバーを持って体育館に入って行った。

どうしよう…

夏川のことは好き。

だけどそれは友達として、同じ部活の仲間としての好きであって、恋愛感情ではない。

はっきりわかってるのに、なんでちゃんと言えないんだろう。

傷つけるのが怖いのかな。

だけどこの曖昧な態度をとることが一番傷つけるのに。



「咲耶!見て見て!」

家に帰るとお姉ちゃんがきていた。

リビングで何やらお母さんと楽しそうに話している。

「わあ、どうしたの、これ。」

それは浴衣だった。

紺色に赤い花の絞り模様。

随分前にお姉ちゃんが花火大会に着て行ってたような…

すごく似合ってたからよく覚えてる。

「荷物整理してたらあったの。咲耶、夏祭り行くんでしょ?」