「一生に一度なんだからー!ねえ、お父さん。」

「いいじゃないか、美耶はそんなに太ってないよ。」

「お父さん、それフォローになってないからね。」

いいなぁ、あたしもいつかこんな風になりたいな。

好きな人を親に紹介して、みんなでご飯食べたり…

あたしの隣にいるのは、…うわあ!

なに想像してるの!

まだ付き合ってもないのに、図々しいよ!

「琢磨君!これおいしい!」

「おー、サンキュ!咲耶いっぱい食べろよ!」

頭の中の妄想を振り払うみたいにあたしはピザにかぶりついた。

琢磨君が帰ったあと、あたしはお姉ちゃんとリビングでテレビを見ていた。

「はー、疲れた!結婚式って本当に準備が大変なのー…」

来月の式に向けてお姉ちゃんたちは毎週打ち合わせ。

「琢磨ってば優柔不断だからほとんどあたしが決めるのよ。」

文句を言いつつも楽しそうにウエディング雑誌をめくるお姉ちゃん。