な、なんでって…

一ノ瀬君のビー玉みたいな大きくて綺麗な目に吸い込まれそう。

「そ、れは…その、…」

「忘れ物ーっ！」

ガラリと大きな音がして扉が開いた。

「あれー？直と秋山！何してんの？もしかして青春してた？？」

入ってきたのはお調子者の佐藤君。

タイミング悪いよ…

でも教室から出るなら今だ。

せっかくのチャンスかもしれない。

だけどまだ、告白なんてできない。

「そろそろ行くね、またね。」

あたしは一ノ瀬君の顔を見ないで教室から出た。

…びっくりした。


あんな目で見つめられたら、どうしたらいいのかわからなくなっちゃうよ。

好きっていっちゃいそうになるよ。

ていうか、ほぼもう言っちゃったようなものだ。

一ノ瀬君気づいちゃったんじゃないの？

あたしの気持ちに。

熱くなった頰にひんやりとした廊下の壁をくっつける。

気づかれちゃったら、どうしよう…