隣の席にいて、話しかけてくれた一ノ瀬君。

背の高いことで落ち込んでいたあたしを励ましてくれた一ノ瀬君。

国語の漢字テストでトンチンカンな回答をしていた一ノ瀬君。

まだ出会って3ヶ月だけど、たくさんの顔が思い浮かぶ。

それによりによってくるみとかぁ…

まあ、一ノ瀬君の好みなのかな。

前は千歩のこと好きなのかな、って感じたことあったし。

つまりそれって、あたしみたいなのはタイプ外ってことだよね。

「咲耶!」

呼ばれたので慌てて目をゴシゴシ擦る。

「何してんの、こんなところで。」

夏川だ。

いいな、夏川は。

男子だから背が高いことで悩むことなんてないだろうな。

それにバスケだってできるし。

あたしなんてもうバスケできないからこんなに背が高くてもなんの意味もないのに。

「男になりたかった…」

「はあ?何言ってんだよ!」

男なら、一ノ瀬君の親友になれたかもしれない。