漫画だって玲兄が一緒に読んでくれるから面白かったのに。

結局俺は一人じゃ何にもできないってことなのかな。

そんなことを考えているとベッドに投げていた携帯が震える。

見ると真兄からの着信。

「もしもし!」

『おー、早!なに、そんなに俺からの電話が待ち遠しかったの?』

「うん!」

うんってお前なー、と自分で言ったくせに電話越しで声を唸らせる真兄。

それから近況報告をした後、俺は言った。

「なんかさー、俺青春してないなーって思って。」

『なんだそりゃ、つうか青春の中にいるやつが青春してるなー、なんて思うの変だろ!そういうのは終わった後にあー、あんとき青春してたなーって思うもんだろ!あ、これ、名言だな!心のメモに書いとけよ!』

なるほど、確かに一理あるかも。

「書いといた!」

『…玲みたいにひねくれ過ぎんのもあれだけど、直ほど素直だと調子狂うわ。』

そう言い残すと真兄は笑って電話を切った。