初めて見たとき、びっくりした。

そのあまりの綺麗さに。

春の日差しを浴びてキラキラと光る金色に近いような、ミルクティーみたいな色の柔らかそうな髪の毛。

透き通るみたいに白い陶器みたいにすべすべの肌。

何よりその瞳に吸い込まれそうになった。

少しグリーンがかった、宝石みたいな瞳。

それを縁取る長いまつ毛。

本当に外国のお人形みたいに綺麗。

こんなに綺麗な顔をしている人を初めて見た。

「一ノ瀬直です、よろしくお願いします。」

彼がまだ少し高めの声でそういった時、教室が少しざわめいた。

彼は不思議そうに辺りを見回したけどそれもそのはず。

この春日台高校では一ノ瀬、という名字はあまりにも有名だから。

春日台高校の一ノ瀬兄弟伝説が始まったのはあたしのお姉ちゃん、秋山美耶が通っていた時かららしい。

初めの伝説は一ノ瀬律先輩、とにかくかっこよくてなんでもできる、そんな少女漫画に出てくる学園の王子様みたいな人が本当にいた。