そのあと千歩は思いきって望に告白。

望もなんと小さい頃からずっと千歩が好きだったらしく、二人は付き合うことに。

バンド練習は行くけど内心少し憂鬱だ。

好きだって気づいて直ぐに終わりとか、なんか虚しい。

だけど気づいて直ぐでよかったのかな。

だってもし千歩のこともっと深く好きになってたら失恋したときかなり辛かったかもしれないし…

仲よさそうに二人で帰っていく後ろ姿を校舎の窓から見ながらそんなことを考える。

千歩、嬉しそうだね、よかったね。



「あれ、一ノ瀬君まだいたんだ…」

ガタ、と音がして振り返るとそこに立っていたのは隣の席の秋山咲耶。

部活の途中らしくジャージ姿。

「…一ノ瀬君、泣いてるの?」

え?

俺が、泣いてる?

頰を触るとなぜか濡れている。

目の前にいる秋山さんの顔も少し霞んでいる。

「あの、…これあげる!」

秋山さんが何か机の上に置いた。