次の日、部室に行くとまだ千歩しか部室に来ていなかった。

あれ、教室を俺よりも早く望は出て行ったのに。

「望は?」

顔をあげた千歩はなんだか泣きそうな顔をしている。

「なんかね、女の子に呼び出されちゃった。…告白かな?望って意外とモテるんだね!小さい頃から知ってるから、なんか変な感じ!」

無理して笑ってるけど、それがバレバレ。

今気がついた。

千歩は望のことが好き。

そして、俺はなぜかそれが…

嫌だ。

モヤモヤする。

千歩が望のことが好きだってこと、なんだかとてつもなく嫌だ。

つまり、俺は…

「ごめんね…直君、こんなとこ見せちゃって。」

「千歩、…」

俺じゃダメなんだ。

それなのに、そうわかった途端に千歩への想いを自覚した。

「望に聞いてみないとわかんないよ!まだ諦めるには早いよ!」

何を言ってんだ、俺は。

こんな心にもないこと言って…

「…そうだね、ありがと!」