「最近なんだか直君、ご機嫌だね。いいことあったの?」

料理当番を手伝ってくれてる愛姉が人参の皮をむきながら言う。

「そうかな?」

確かに俺は今、毎日がとても楽しい。

高校は楽しい。

友達もできたし、何より大きいのは部活。

軽音部での活動はとても充実している。

望と千帆。

二人といると時間が流れるのがあっという間。

こんなに楽しいのははじめてだ。

フランスの学校のときは友達はいたけどそこまで気の合う奴はいなかった。

中学は三年の卒業間近に転校してきたからそんなに仲良くなれる奴はいなかったし。

それどころか俺、初日に殴り合いの喧嘩しちゃったしね。

「もしかして好きな子でもできた!?」

どうしてこう、女の子ってこの手の話が好きなんだろう。

目をキラキラさせながらいう愛姉はやっぱりどことなく千帆に似てる。

「そんなんじゃないよ、」

「な、なに!?早い!早すぎる!直に彼女!」