私、何持論展開してんだろ。

一ノ瀬君に引かれたかな。

「…だよね、そっか、そうだよね。」

一ノ瀬君は納得したように何度も頷いた。

「綾瀬さんと話せてなんか楽になった。ありがとう。」

そう言って笑った、一ノ瀬君の笑顔に胸がドクンっとなった。

恋はしようと思ってするものでもない、だけどしないって思ってても勝手に落ちちゃうのが、恋。

そう、きっかけは単純。

たけど恋に落ちちゃうんだ。


「ひなの!遅いよ!もう十一時半よ?門限とっくに過ぎてる!」

家に帰るなり飛んでくるお母さんのそんな声も届かなくて。

私の頭の中は、なぜか一ノ瀬君の笑顔でいっぱいで。

さっきあったばかりなのに、もっと話してみたい。

さっき別れたばかりなのに、もう会いたいって思ってる。

心臓が、ドキドキしてる。

「お姉ちゃん、アイス食べないの?お姉ちゃんが好きなの、抹茶だよね!」

「はるちゃんにあげる。」

「ええ!うそ!」