へ、へえ…

あの人たち、そんなにすごいんだ。

「でも一ノ瀬家にまだ兄弟がいたって知らなかったな。それに一ノ瀬君ってハーフ?だよね?」

「あー、うん。親の再婚だから。」

そう言うとすこし空気が重くなったのがわかった。

言わなきゃよかったかな。

「一ノ瀬!」

背中をバシンと叩かれ、結構痛い。

振り返るとそこにはやたらニコニコした背のでっかい男。

そういやこいつ、俺の後ろの席の…

「榎本望!さっき言った!」

そうそう、やたら声デカイなって思って聞いてたんだ。

「なによー、今あたしたちが一ノ瀬君と話してるのに!」

「お前ら入学早々ナンパはやめとけ!」

「なにそれ!」

こいつ、さっきまでの重苦しかった空気がなくなるように明るくて。

「でさ、本題なんだけど。一ノ瀬、なんかスポーツやってた?」

スポーツ…

向こうにいたときはテニスをやってたけど。

もう当分ラケット握ってない。