真ちゃんはバケツを床に置くと、私の顔を覗きこんだ。

「ほんとかー?優と喧嘩でもしたのか?」

喧嘩の方がマシだ。

勝手に私が嫉妬してるだけだなんて言えないよ。

「真先輩!次あっちの水槽だそうです!」

私が黙っていると真ちゃんの後ろから髪の長いとても美人な女の子が走ってきた。

「ほの、今行く。」

その子は私に気がつくと軽く会釈してくれたから、私も返す。

「じゃあ俺は行くな、優に泣かされたらすぐに言えよ!」

真ちゃんはそう言うと、バケツを持って行ってしまった。

真ちゃん、ぶっきらぼうだけど優しい。

優ちゃんも真ちゃんも、優しいんだよね。

だけど違う優しさなんだ。

その優しさに甘えてばかりの私。

情けないよね。

そろそろ帰らなきゃ、優ちゃんきっと遅いって思ってるだろうな。

よし、気にしない気にしない!

優ちゃんがモテモテなのなんて昔からのことじゃない!

それに彼氏がモテることはいいことだよ!