ため息をつき、トイレから出る。

まだあの人たちいるのかな。

あー、私ってなんて心が狭いんだろう。

こんな小さなとこでいちいち嫉妬しちゃって。

「あれ?みいじゃん。こんなとこでなにしてんの?って、優とデートか。」

名前を呼ばれ、顔を上げるとそこにはバケツを持った真ちゃん、一ノ瀬真君。

優ちゃんの双子の兄で同じ高校二年生。

だけど似ているのは見た目だけで正確はまるで正反対な二人。

作業着のような青い繋ぎを着て、胸には水族館のマーク。

「バイトしてるの?真ちゃんの学校、バイトいいんだっけ。」

「バイトはいいけど俺はバイトじゃねえよ。うちのバスケ部のやつの家なんだ、ここ。だから毎年手伝いに来てるんだよ。毎年この時期水槽の整備するんだって。」

へえ、なるほど。

だから掃除道具が入ったバケツ、持ってるんだね。

「なんかみい、元気ないじゃん。」

「そんなこと、ないよ。」