なんて言えるはずもなく。

「そうだ!玲君、お誕生日、おめでとう!」

ひなは赤い顔を隠すように玲に向き直る。

「ありがとうございます。」

「玲君、さっきあげた石畳チョコとは別に、愛ちゃんと玲君のお誕生日ケーキ、お姉ちゃんと作ったの!」

今日はもう無理そうだ。

「それだったら愛たち帰ってきてから切ったほうがいいんじゃない?」

「そうだね。」

そんな会話をしながら、はるひちゃんと玲は二階に上がっていってしまった。

再び二人きりにはなれたけど、弟達のいる家で続きなんてできるか!

「コーヒー冷めちゃったね、俺、入れ直す…」

「律君!」

そして突然、唇に柔らかい感触。

それがひなからの初めてしてくれたキス。

驚きすぎて、一瞬時が止まった。

頭の中は、爆発寸前。

「…したかったから…」

顔を真っ赤に染めて、上目遣いに俺を見るひな。

こんなの、生殺しだ。

やっぱりひなには、かなわない。



「一応聞くけど、いつくらいに恐くなくなるかな?」

俺の理性も、限界が近そうなんで。

「うーん、できれば結婚するまでは…」