今日はバレンタイン。

ひなの嫌がることはしない。

だけど…

「ひな、…き、キスしていいですか?」

俺がそう言うと、驚いたように顔を上げる。

そして真っ赤になった頬を隠すように押さえて、小さくうなずきまた俯く。

小さいひなを抱き寄せ、顔を少しずつ近づけていく。

何回したって慣れない、キス。

ひなが長いまつげを閉じたら、俺も目を閉じた。


「ただいま。」

「おじゃましまーす!」

バタバタッ

リビングの扉が開き、誰かが入って来る。

俺達は慌てて離れる。

「あ、律兄。いたんだ。」

「あれ、お姉ちゃん!」

そこには玲と、玲の彼女であり、またひなの妹でもある綾瀬はるひちゃん。

「ねえ、玲君。あたしたちもしかしてお邪魔しちゃったんじゃない…?」

はるひちゃんが恐る恐るいう。

「そうなの?律兄。」

うん、そうだよ!

すっげぇタイミング悪い!

だってあと数ミリで、キスしてたんだよ?