そのときだった。ばかな私は自分の左足に右足を引っ掛けて、派手に転んでしまう。大小ある10冊の本たちが宙を待って、派手にバラバラと床に落ちていった。
「(ああ……可哀想……)」可哀想というのは、一体全体どう言うことなのかと言うと、本が可哀想だと思った。そうして丁寧に拾おうとしていると、正面の遠くからすらりとしたお兄さんが小走りで寄ってきた。