読書以外にも自分の興味がかたむきかけていることに驚きながら、本棚へと視線を移し歩く。
読みたい本を探す時間はいつだってそのことだけに集中出来ていたはずなのに、最近は何をしていても一ノ瀬くんのことが頭に浮かぶ時間が増えていく気がした。
「わっ」
「えっ……」
突然背後から、ボリュームを落とした声でおどかされてびっくりして振り返る。
私が驚く顔を見て微笑む一ノ瀬くんがいた。
私はさらにびっくりしながら、あたりをキョロキョロ見渡してしまう。
学校では接点を持たない約束だったからだ。
「誰もいないよ」
私の心配を察したように、一ノ瀬くんは穏やかな声で告げる。
「山下さん、図書室よく来るの?」
「あ、うん。本が好きで」
「本棚見慣れてるっぽかったからかっこいいなって思って」
「私はよく来てるだけで……一ノ瀬くんは?」
「本くらい読めってミミちゃんに言われて来た」
「ミミちゃん?」
さらりと出て来た名前に思い当たる女の子がいなくて思わず聞き返すと、一ノ瀬くんは微笑む。
読みたい本を探す時間はいつだってそのことだけに集中出来ていたはずなのに、最近は何をしていても一ノ瀬くんのことが頭に浮かぶ時間が増えていく気がした。
「わっ」
「えっ……」
突然背後から、ボリュームを落とした声でおどかされてびっくりして振り返る。
私が驚く顔を見て微笑む一ノ瀬くんがいた。
私はさらにびっくりしながら、あたりをキョロキョロ見渡してしまう。
学校では接点を持たない約束だったからだ。
「誰もいないよ」
私の心配を察したように、一ノ瀬くんは穏やかな声で告げる。
「山下さん、図書室よく来るの?」
「あ、うん。本が好きで」
「本棚見慣れてるっぽかったからかっこいいなって思って」
「私はよく来てるだけで……一ノ瀬くんは?」
「本くらい読めってミミちゃんに言われて来た」
「ミミちゃん?」
さらりと出て来た名前に思い当たる女の子がいなくて思わず聞き返すと、一ノ瀬くんは微笑む。