「そういえば、前買ったリップクリームどう?」
「気に入ってるけど……」
「……けど?」
「一ノ瀬くんも同じの使ってるって聞いて」
「あー……そういうの嫌だった?使ってみて良かったものすすめたかっただけなんだけど」
「ううん……クラスの子に褒められて何使ってるの?なんて訊かれたの初めてで、一ノ瀬くんすごいなって」
日頃あまり話さない子に話しかけられてびっくりしたときのことを思い出しながら報告すると、彼は嬉しそうに笑っていた。
あの日、もしも自分で選んでいたらきっと選ばなかったものだと思う。
そしておそろいのリップクリームには、おすすめ以外の気持ちがないことにホッとしたような、ちょっぴり寂しいような、自分の心の中がモヤモヤ複雑になっていく気がした。
「気に入ってるけど……」
「……けど?」
「一ノ瀬くんも同じの使ってるって聞いて」
「あー……そういうの嫌だった?使ってみて良かったものすすめたかっただけなんだけど」
「ううん……クラスの子に褒められて何使ってるの?なんて訊かれたの初めてで、一ノ瀬くんすごいなって」
日頃あまり話さない子に話しかけられてびっくりしたときのことを思い出しながら報告すると、彼は嬉しそうに笑っていた。
あの日、もしも自分で選んでいたらきっと選ばなかったものだと思う。
そしておそろいのリップクリームには、おすすめ以外の気持ちがないことにホッとしたような、ちょっぴり寂しいような、自分の心の中がモヤモヤ複雑になっていく気がした。