きっとこんなにも一ノ瀬くんのことばかり考えてしまっている私を、彼は知らない。
 恋愛感情なんて迷惑かもしれない。
 でも一度ときめいてしまうとその気持ちはすくすく育っていくばかりだ。

 ぼんやり眺めていたメッセージアプリの画面がピコンと音を立てたかと思えば、一ノ瀬くんからの返信だった。
 転がっていたベッドから勢いよく体を起こして、画面に見入る。

 『おやすみ』『また明日』と、短くつづられたメッセージが頭の中では彼の声で再生された気がした。