「気にすんなよ。大丈夫だから。つーか、俺が怖い?だから後ろ歩いてんのか?」

ズボンのポケットに手を入れたまま歩く彼は、後ろを振り返って私に問いかけた。その顔は傷だらけで、私はポーチから絆創膏を取り出し、手渡す。

「…怖くは、ない。けど、男の人と、歩くとか、初めて、だし。だから…。その、はい、これ!あげる!」

無理やり手渡して、彼は受け取ってくれた。

「あっはは!なんだよ、緊張してんのか?大丈夫だって。何もしねぇよ。なぁ、いくつ?聞いていい?俺は16。」

絆創膏を傷口に貼り、彼は言う。
太陽みたいに笑う人だと思った。こんなにも温かい気持ちになるのは、どうして。

「…14。」

「そっかぁ。こんな時間に外歩いてるし、俺ら不良だな!」

そう言ってまた笑う。その声は、心地良いものだった。

辿り着いたのは、オシャレなカフェ。夜ご飯だし、ファミレスとか想像してたんだけど、この人はカフェが好きなのかな?

「いらっしゃいませ〜。」