切れてる口から痛みが流れて、それを拭いながら、彼は身体を起こす。その顔は、痣だらけだった。痛々しくて、すぐパッと目を逸《そ》らす。

「俺を助けるとか、お前が初めてなんだけど。まぁでも、サンキュ。助かった。あ〜腹減った。お前は?」

「え?いや、私は、おカネないし…。」

そう言った時、ぐ〜ってお腹が鳴り、私は慌ててお腹を抑える。

「腹減ってんじゃん。大丈夫だって、俺の奢り。年下にカネ出させたりなんか、しねぇよ。何食いたい?」

俯く私の顔を覗き込んでそう問いかけるこの人は、なんだか怖くない。

不良だよね?眉毛ないし、口にピアスだし、なんか外見は怖そうなのに、話し方が優しいと言うか。

ワイシャツは第二ボタンまで開けて、ネクタイは緩く締めて、ブレザーを着てる。制服には靴跡がついて、汚れていた。

「…えっと、なんでも、大丈夫。」

不良である金髪の人に、夜ご飯を奢ってもらう事になりました。

「あのさ、絆創膏、あるけど…。」

金髪の人の後ろを歩きながら、私はブレザーのポケットから小さなポーチを取り出して言った。