だから私は、震える足で倒れている彼に駆け寄った。

「…は?何、してんだよ?逃げろって…なぁ。」

傷だらけの彼は、私を逃がそうとする。そんな私たちを、男たちはニヤニヤしながら囲んだ。

逃げ出したいのに、恐怖で身体は硬直。どうしよう、どうしよう、どうしよう…っ!

「2人まとめて、やっちゃいますかー!」

殺される…っ!

スカートの裾をぎゅっと強く掴んで、目を閉じた。

ドサッ

恐る恐る目を開けると、金髪の彼が、私の腕の中に倒れ込んでいた。私を、庇《かば》ったの…?

「妹ちゃん守るとは、かっこいいねぇ〜。」

「さすがにこの人数じゃ、無理っしょ。」

「ガキは早く帰って寝な。」

ぎゃははは!と、男たちは笑い、そしてリーダー的な男が「帰るぞ」と言って、皆んなその場を去って行った。

た、助かったの?

「…怪我、ねぇ?」

痛みに顔を歪める彼は、私の心配をする。

「…なんで。」

涙がポロポロ零《こぼ》れ、私は俯く。
どうして、私なんかの心配するの?

「なんでって、そりゃ、こっちのセリフ。なんでお前、俺なんか庇うマネしてんだよ。あ〜いって…。」