会う度に、星凪くんは傷だらけだね?
痛いくせに、どうして逃げないの?
私には、無理だよ。怖くて、逃げたくなる。

「母さんとも喧嘩して、いつも以上に顔の傷、酷くてさ。こんなんじゃ、合わせる顔ねぇって言うか。だから、ごめん。後は、苛々してたから、お前に冷たく当たりそうで怖かったんだ…。」

私はケータイを耳に当てたまま、ベッドの上で起き上がる。

「明日、会えないかな?」

「俺、醜《みにく》いよ?」

「そんな事ない!だって、今日、見かけたもん。」

あ、つい言ってしまった…。

「え、見かけた…って、何処で?」

「あ、いや、その、駅前の本屋さんのところで。」

「まじかー。見られてたのか。そん時の俺、最悪だったろ?顔に絆創膏だらけでさ。俺の事、怖いって思った?だから声かけてくれなかったの?」

醜いとか、合わせる顔がないとか言ったくせに、私が声をかけなかった事が寂しいの?見かけたなら、声をかけて欲しかった?

私は、言葉に詰まる。
怖いと思ったのは事実だから…。

「…だよな。ごめん。そりゃ怖いよな。ごめん。明日、いつもの時間に待ってる。」