宿題をなんとか終えて、私はベッドに寝転がると、前に星凪くんから貰った連絡先のメモを見ながら、番号を打っていく。

プルルルル…

時刻は10時を過ぎていた。
星凪くん、電話出てくれるかな?

この時間なら、外だったりして。

「もしもし?誰?」

電話に出たのは、不機嫌そうな低く怖い声。

番号間違えた?

慌ててメモを確認するけど、番号は間違いないみたい。じゃあ…この声は、星凪くん?

いつもの優しい声じゃないから、分からなかった…。

「おい、誰だって聞いてんだよ。」

怖い怖い怖い…っ!

あまりの怖さに、私は声が出せなくて。

「イタズラか?おい、誰だよ。」

やばい。このまま黙っていたら、電話切られちゃうかもしれない。そしたら、また電話する勇気なんて…。

「…あ、あの、私…。」

やっと声を出せたと思ったら、その声は震えていて、電話の向こうの星凪くんに届いてるか心配。

「あ?誰だって?」

「…愛莉菜。」

「…は?え、愛莉菜?え、なんで。だってケータイ持ってないって…。」

不機嫌そうな声が、一瞬にして混乱してる声に変わる。

「…お母さんが、解約、嘘だって。それで、さっき、返してくれて、それで…。」