お母さんの声だ。

「うん、いいよー。」

ガチャ。

「これ。」

渡されたのは、私のケータイ。

「私のだ!あれ、でもなんで?解約したって…。」

その言葉に、お母さんは申し訳なさそうな顔をした。

「あれ、嘘なの。ごめんね。お父さんも解約信じてるけど、お母さんね、愛莉菜に真面目になって欲しくて。それでつい、解約したなんて言って。」

お母さんは「ごめんね」と言って、私にケータイを返してくれた。

「じゃあ、ずっと、お母さんが持ってたの?」

「うん。その間ね、SNSの通知がすごくてね。それで思ったの。愛莉菜を必要としてくれてる人が、こんなに居るんだなぁって。だから、無視するわけにいかないじゃない?門限とか、お母さんとの約束守ってくれるなら、ケータイ使っていいから。」

ケータイ使えなかった間も、SNSで絡みのある人たちは、私の事、ずっと待っててくれたって事?もうとっくに、フォロー解除されてるとばかり思ってた。

「ありがとうお母さん。門限も勉強も、ちゃんとする。」

ケータイが私の手の中にある。これで、星凪くんとの連絡手段確保だ。不良なんてやめて、ちゃんと真面目に頑張ろう。