「え?あぁ、ううん、なんでもない!ほら行こ!バス来ちゃうよ!」

私は星凪くんに声をかけずに、お母さんの腕を引っ張って歩き出した。

星凪くんが怖い。

怖いくらい優しくて、甘くて、貢いでくれる。どうして?私は、何もしてあげられてない…。

私の部屋には、星凪くんから貰ったプレゼントがいっぱい。黒いスカート、ケーキのキーホルダー、アクセサリーとか、映画館行った時のチケット。それに、デートのご飯代とか交通費まで、星凪くんが出してくれた。

怖いくらいに優しいから、私はどうしたらいいのか分からなくなる。

「さっさと終わらせよ。」

お母さんと家に帰って、私は夜ご飯を食べ終え、残りの宿題を終わらせようと、机に向かい座っている。

夏休みが終わる前に、もう一度、あの公園で会いたいな。いつも何かしてもらってるから、今度は私が何かしてあげたい。

クッキーでも作って、持って行こう。

コンコン

宿題と睨めっこをしていると、ドアがノックされた。

「愛莉菜、入ってもいい?」