「ありがとうお母さん。大事にする!」

その言葉に、お母さんはすごく嬉しそうに笑った。

「愛莉菜とお出かけ、本当に楽しいわ。また2人でカフェとか行こうね。お父さんには内緒よ?今日の買い物、お母さんのヘソクリ使ってるから。」

「分かった!お父さんには内緒♪約束。」

仕事ばかりのお父さんより、私の事を分かろうとしてくれるお母さんが好き。

夏休み前までは喧嘩ばかりだったけど、少しずつ、お母さんは私の声に耳を傾けてくれるようになったし、私もお母さんの言う事は聞くようになった。

夜遊びばかりしてると、本当にヤバい奴に声をかけられたりとか、補導とか、面倒だもん。とは言っても、たまに夜遊びするかも?星凪くんと一緒の時は特に。だって、1秒でも長く一緒に居たいんだもん。

「そろそろ夕飯の準備しないとだし、帰ろっか。」

時計を見て、お母さんは言う。

見上げた空はまだ明るくて、オレンジ色に染まってるのが綺麗だった。

バス停まで歩いていると、本屋さんの前でケータイをいじる星凪くんを見かけた。