力強く抱き締められて、息が出来ない。

「…せ、な、くん。」

「俺だって、帰したくねぇよ。なぁ、これから俺の家に来ねぇ?」

「…え?」

親は仕事で居ないからと、星凪くんは私を家に招いた。

彼の部屋は6畳ほどで、棚にはゲームや漫画がずらり並んでいる。そして机の上には宿題の紙と教科書が。

「愛莉菜。今日は帰さねぇ。好きだよ。」

ドサッ

星凪くんの匂いがするベッドの上、優しく押し倒されて、私たちは何度もキスをする。それは、ケーキのように優しく甘い時間。

「ケーキバイキング、楽しかったな。また行こうな。」

「うん、絶対また行きたい。」

何度も求め合って、14年間生きて来た中で、こんなにも甘く優しい夜は、初めてだった。

「暑いよな。扇風機回すの忘れてた。ちょっと待ってて。」

彼はそう言ってベッドから降りると、扇風機をつける。

「ありがとう。」

「うん。あ、炭酸あるけど、一緒に飲もうぜ。」

冷蔵庫から炭酸飲料を持って来て、透明なグラスに氷を入れて注ぐ。彼は本当に優しい。

「はい、どうぞ。」

「ありがとう。いただきます。」

冷たくて、渇いた喉を潤してくれる。

「愛してるよ、ずっと。愛莉菜は俺のもん。」

そうやってまた優しく笑うから、幸せいっぱいで泣きたくなる。