そう言って男は、私の腕を乱暴に掴む。

「…痛い、離して!」

「あ?全部てめぇの兄貴が悪いんだろうがよ!憎むなら兄貴を憎め。」

怖い…っ!

「俺の女に何してんだこら。」

片手に水を持って戻って来た星凪くんが、私の腕を掴む男の手首を掴み、男たちを睨み付けていた。その顔は、見た事もないくらい怖くて。

「ちょうどいいや、てめぇを此処でぶっ殺してやるよ!」

男はそう言って、星凪くんは顔面パンチを食らってしまう。

「…星凪くんっ!」

倒れた星凪くんに駆け寄る私。星凪くんは血を吐いて立ち上がる。

「お前は下がってろ。危ねぇから。大丈夫。俺が守ってやるよ。」

そう言って、持っていたペットボトルの水を私に差し出す。

「あ?何カッコつけてんだ?てめぇ弱いくせに、女ひとり守れるのか?笑わせんなや!」

私は、下がっているしかなかった。

いつだって、星凪くんに何かをしてもらうばかりで、私は何も与えられない…。無力だ。5人の男たちと殴り合い、結果ズタボロになる事くらい、星凪くん自身が1番分かっているはずなのに、どうして…。