「どした?」

「…あ、いや、別に。」

「顔、赤いけど。熱でも、あるんじゃね?」

心配そうに私の顔を覗き込んで、その大きな手で私のおでこに触れる。顔が近くて、心臓がバクバク騒ぎ出す。

日差しの強さに、首筋を流れる汗。星凪くんの首にも、汗が流れていた。そして、ふわっと甘酸っぱいベリーの香りが、私を包んでくれる。これが、星凪くんの匂い。優しくて、甘くて、癒される。

「熱は、なさそうだな。俺ちょっと、冷たいもん買って来る。近くに自販機あったはずだから。」

そう言って彼は、公園を出て行った。

本当に、私どうしちゃったんだろう。
星凪くんが近くに居るだけで、こんなにもドキドキして…。これが、恋ってやつ?

「あっれ?お前確か、妹ちゃんだっけ?」

…っ⁈

顔を上げると、そこには5人の怖そうな男たち。この人たちは、星凪くんを殴っていた…。
思い出しただけでも、この身体は震えだす。

怖い怖い、怖い…っ!

「ひとりかな?何、震えてんの?可愛いねぇ〜。」

「中学生?高校?」

「お前の兄貴がさ、弱いくせに、俺らのダチと殴り合ってさ。だから、その仕返したっぷりとしねぇとな?」