夏休みも中盤、俺は特にすることもなく毎日を過ごしていた。

月乃と会って、課題をやって、そんなふうに代わり映えのない毎日を退屈に思っていた。

「廉?聞いてた?」

目の前には月乃の顔。

やべ、またボーッとしてた。

「ごめん、なんだっけ。」

「だから、明日ね、その、あたしのお父さんだっていう人に会うの。」

突然の月乃の発言に、耳を疑う。

「いいのか?だって月乃…」

「うん、このまま悩んでる方が嫌だもん。」

何かを決めたような、月乃の表情に俺は何も言えなかった。


次の日、久しぶりに隼人と会う約束をしていて、待ち合わせ場所に行くとなぜかそこにいたのは…

「…春川?」

名前を呼ぶと、顔を上げて目を見開く。

夏休みに入ってから一度もあっていない、春川。

「藤咲君!?な、なんで…」

「俺は隼人とここで待ち合わせしてるんだけど。」

「あたしも…美恵ちゃんと…」

そこまで言いかけた春川は急にかばんをゴソゴソして、携帯を取り出した。