優芽といっちゃんとお祭りに行けば、きっと少しは藤咲君のこと考えないですむ。

そう思っていたのに…

「いっちゃん!ひーちゃん!ゆめ、わたあめ食べるー!」

神社にはまだ明るいのにはひとがたくさん。

少しでも目を離したら迷子になっちゃいそう。

「わたあめ?優芽、焼きそばにしようぜ?」

いっちゃんはお腹が空いてるみたい。

「えー、ゆめはわたあめたべたい!」

「焼きそば!」

子供みたいに優芽と言い争ういっちゃんがなんだかおかしくて、笑っちゃった。

するといっちゃんはあたしの方を見て、頭に手を伸ばす。

いつもみたいにグシャグシャにされるかと思ったのにその手は優しくて。

「やっと日菜が笑った。」

いっちゃん、ありがとう。

あたし、いっちゃんがいてくれてよかった。

「よし、わたあめも焼きそばもどっちも食べるか!」

「やったー!ひーちゃん、いっちゃん、ありがとう!」