どうしたのかな。

「…俺と行くの、デートじゃないの?」

へっ?

だって毎年いっちゃんといってるよ?

それに、デート…?

「えっと…いっちゃん?」

「ごめん、何でもない。忘れて。」

そう言うといっちゃんは早々と階段を降りて行ってリビングに入っていった。

どうしたんだろう?

いっちゃんが急ににあんなことを言うなんて、びっくりしちゃった。

何かあったのかな。

不思議に思いつつ、リビングに入ると、髪の毛も可愛くセットした優芽が待ちわびた様子で待っていた。

「ひーちゃん、もういこうよー!いっちゃんもきたよ?」

「はいはい、ほら優芽、走ったら浴衣崩れちゃう!」

待ちきれない様子で走り回る優芽の手をつなぐ。

「日菜、ごめんね。せっかくのお祭りなのに。今日もあたし、夜勤になっちゃって。」

ちぃちゃんが申し訳なさそうな顔で手を合わせる。

「いいの、いいの!どうせ暇してたし、優芽と一緒に行ったら楽しいと思うもん!」