園内のフードコートで食事を済ませると、いよいよ最後の自由行動。

「美恵ちゃん!」

あたしは美恵ちゃんとトイレに行ったとき、あることを思いついた。

「何?」

「もう最後でしょ、中原君と二人で回って!」

せっかくの修学旅行最終日、二人にはこの旅行中にもたくさん迷惑かけちゃったし、最後くらいお礼も兼ねて。

「え…でも…」

「いいから!楽しんできて!」

あたしが笑顔を向けると、美恵ちゃんは笑って頷いた。

「じゃあ、日菜ちゃん、廉、ありがとな!」

中原君はすごく嬉しそうな顔をして美恵ちゃんと行っちゃった。


取り残されたあたしと藤咲君。

このまんま気まずいままじゃ嫌だ。

せめて友達でもいい、ただのクラスメイトでもいいから、藤咲君と話したい。

「藤咲君、どこか見たいところある?」

「うーん…もうほぼ見て回ったよね。」

藤咲君はパンフレットを見ながら言う。

そうなんだよね、午前中で結構見て回っちゃったから、もうだいたい制覇したかも。