つうか、こんなところに二人とも隠れてどうすんだよ!

見下ろせば、俺の腕の中に春川がいる状態。

つまりは、抱きしめてしまっていた。

「藤咲ー?中原ー?」

何やってんだ、俺は…

「い、います!二人とも!」

「早く寝ろよー!」

遠ざかっていく足音が聞こえ、ほっと一息つくと俺の目の前には春川の柔らかそうな茶色い髪。

「ごめん…」

あわてて離す。

「…う、うん!平気!」

そう言って顔を上げた春川の頬は、暗闇でもわかるほど、赤くなっていた。

自然に俺の手は、その頬に伸びていて。

自分でも自分が何をやっているのか、分からない。

その潤んだ大きな目に、伏せた長いまつげに、春川のすべてに、おかしくされている。

春川は小さくて、細くて。

月乃も細いけど、身長は結構高いから。

って、比べてる俺は最低。

「ふ、藤咲君…?」

戸惑ったように、眉を下げる。

どうすんだよ、これから…

「れーん!開けろー!」

どんどん、とドアを叩く音がして、外からひそひそ声の隼人の声が聞こえた。