だって、そこに立っていたのは隼人ではなく。

「こ、こんばんは…」

おずおずとつぶやく春川。

「えっと、中原君が…その、美恵ちゃんと二人になりたいから…俺の部屋に行っててって…」

困ったように笑う。

隼人…お前はアホか?

もう部屋から出るのは禁止の時間。

なのに女子を部屋に連れ込んでるなんてことがばれたら、反省文どころじゃ済まない。

「とりあえず、はいって。」

ここは目立つ。

もし見回りが来たら、即効バレるかもしれない。

部屋のドアを閉めると、なんとなく気まずい雰囲気。

「ごめんね、お邪魔しちゃって…」

「いや、隼人が悪いだけだから。」

つうかまだ付き合い始めて全然経ってないのに、いきなり大胆じゃないの?

まあ、そういうことはしてなさそうだけど、あいつああ見えて奥手だしな。

「明日、動物園楽しみだね!」

話題を見つけて、話してくれる春川。

多分、気を使わせてる。

「春川、動物好きなの?」