父親は仕事の関係でめったに帰ってこなくて、ほぼ一人で暮らしているようなもんの俺にも、優しくまるで本当の孫のように扱ってくれる月乃の祖父母。

「帰ったら会いに行くから、待ってて。」

「絶対だよ、すぐにきて、ぎゅってしてね。」

「うん。おやすみ。」

電話を着ると、再び大きなため息をついてしまう。

ほんと、最悪だな。

いつまで俺はこうやってるんだろう。

月乃を大切に思う気持ちは嘘じゃない。

だけど、使命感?

そんなものを感じながら、月乃のそばにいていいのか?

ピンポーン

部屋のチャイムが鳴った。

このホテルの部屋はオートロックだから、一度占めてしまうとカードキーを持っていなければ部屋には入ることができない。

見ると、机の上にはカードキーが転がっている。

隼人、意外と早く帰ってきたんだな。

ベッドから降りて、扉を開ける。

だけど、俺は思わず自分の目を疑った。