「うん、告白して振られたわけじゃないから…藤咲君、あたしのことなんとも思ってなんかないしね。」

伝えることもできず、終わった初恋。

でもこれでよかったんだ。

気まずくなって、話せなくなって、ただのクラスメイトにもなれなくなっちゃうことのほうがあたしにとっては悲しい。

「なーんか廉君ってわけありって感じするんだよね。隼人、なんか知ってるのかな。」

確かに藤咲君はたまになにかすごく考えこむような表情をしている。

だけどそこに、あたしは入り込めない。

その資格もないんだもん。

「日菜暗い顔しないの!この修学旅行でいい出会いがあるかもよ!期待しよう!」

いい出会い、かぁ。

「うん、ありがとう。」

でも今はまだ、藤咲君のことが好き。

あたし、しつこいよね。

藤咲君には美人の彼女がいて、あたしなんか到底敵わなくて。

それでも、やっぱりその姿を見るだけで胸がドキドキして、話しかけてくれるだけで舞い上がっちゃうほど嬉しい。

修学旅行の班だって、同じになれて本当はすごく嬉しかったの。