今日は朝から雨。

激しい雨音のせいで一時間も早く目が覚めちゃった。

だから朝御飯のためにスコーンをつくる。

「日菜~おはよ。」

「ちぃちゃん、おはよう!」

スコーンとサラダ、コンソメスープを作り終えた頃ちぃちゃんが二階から降りてきた。

「うーん…いいにおい。お腹すいた…」

「今パン焼くね!あ、スコーンもあるけど。」

「やったぁ!日菜のスコーンは世界一だもんね!」

そう言ってはしゃぐちぃちゃんはまるで子供みたい。

見た目もすごく若いちぃちゃんこと春川千里は正真正銘の26歳であたしの母親だ。

でもそれじゃあたしを十歳のときに生んだってことになっちゃうって思うでしょ?

実はあたしの家は少しだけ複雑だ。

18歳でお父さんと結婚してあたしを生んだお母さんは14年前、二十歳で弟の真央を生んだときに亡くなった。

元々体が弱くて病弱だったお母さん。

母子ともにとても危険な状態だったらしい。

お母さんが亡くなってから10年、あたしが12歳、真央が9歳のときにちぃちゃんと再婚。

それから妹の優芽が生まれた。

血は繋がっていないけどあたしはちぃちゃんが大好き。

よく買い物やご飯にも一緒にいくし、悩みも相談できる、お母さんというよりお姉ちゃんみたいな存在。

だからなのかな、お母さんって呼ぶことに少しだけ抵抗があるの。

もちろん、お母さんって呼んでもいいかなって思った時もあった。

けどちぃちゃんが言ったの。

「日菜、あたしのことは今まで通りちぃちゃんって呼んでね!」