夕暮れの帰り道。

いつもの通学路なのに、全然違って見える景色。

その理由は、俺の隣にいる春川。

二つの影が並んで、長く伸びている。

「…寒いね…」

「うん…」

なんだか恥ずかしくて、まっすぐ春川を見れない。

「あっ、雪…!」

白いマフラーに顔をうずめながら言う春川の白い頬は赤くなっている。

「ホワイトクリスマスだ…!」

嬉しそうに笑うその笑顔を見ていると、寒いはずなのになんだか温かい。

俺の、彼女なんだよな。

まだ実感がわかない。

告白して、春川も同じ思いでいてくれた。

すごく嬉しかった。

小さな春川を、涙を流す春川を、大切にしていきたいって思った。

「ねえ、藤咲君、今日はこのあと、どういう予定?」

「ん、特には。」

今日は世に言うクリスマスイブ。

そういえば朝から隼人が浮かれていたっけ。

父さんもこのシーズンは仕事が忙しいらしく、当分帰ってこないらしい。

母さんの仏前にクリスマスケーキだけは備えるように言われたけど。