7年前、夜の静かな病室でした二人だけの約束。

だけどもうそんな約束は必要なくなっていた。

月乃は俺なんていなくても、一人で大丈夫。

きっと、うまくやっていける。

「俺も、月乃が幼なじみで良かった。」

俺だって月乃に何度も救われたんだ。

一人で寂しくて、泣きそうになっていた俺をうちに呼んでくれたのは月乃だった。

俺が月乃を守ってきたんじゃない、二人で支えあって生きてきた。

「幼なじみ、か。…ねえ、廉。…廉のなかにいる子、ちゃんと幸せにしてあげてね!なんたって私から廉を奪っちゃったくらいの子なんだから!」

冗談ぽく笑う月乃。

「ごめん、ごめん。つい話が長引いちゃって。あれ、月乃ちゃん、そろそろ搭乗時刻だよ。」

父さんは腕時計を俺達に見せながら言った。

「はい、じゃあそろそろ…」

月乃はキャリーケースを持ち直す。

一生の別れじゃない。

またいつか、きっと会えるから。