外はさすがは十二月。

コートを着てくるのを忘れたから、寒くて仕方ない。

「日菜!」

「いっちゃん!」

あの告白から、いつもどおりに毎朝うちに来てくれるいっちゃん。

あたしを助けてくれるいっちゃん。

優しくて、つい頼ってしまう。

だけど、今のままじゃだめなんだ。

いっちゃんのことが大切だからこそ、こんな中途半端な気持ちで接するのは、失礼なことだと思うから。

「いっちゃん、あたし返事考えた。だから、聞いてほしい。」

あたしがそう言うと、いっちゃんは黙ったままあたしをしばらく見ていて、そして頷いた。

「あたしね、いっちゃんのことは好きだよ。すごくいつも助けてくれるいっちゃんのこと、大好きだよ。」

あたしがこまってるとき、いつでも助けてくれたいっちゃん。

「でもね、あたしが恋しているのは、藤咲君なんだ。藤咲君に好きな人がいても、どうしても藤咲君のことが好きなの。」