このままの状態で、いいわけがないんだ。

「廉、頑張れー!」

家の前で別れ際に月乃が手を振った。

月乃は俺より先に歩き始めた。

いつの間にか、俺より先に行っていたんだ。

ありがとう、月乃。

俺もお前がいてくれて、本当に良かった。

小さい頃から隣にいて、何よりも大切にしたかった。

守りたかった。

俺、お前を守れたのかな。

月乃は約束を守ってくれたって言っていたけど、本当なのかな。

月乃がそう言ってくれたなら、それが一番いい。

その笑顔を、見せてくれただけで、もういい。

月乃は強くなっていた。

俺よりもずっとずっと。

一人でも先に進んでいった。

次は俺の番だ。

いつまでも待ってはくれない。

ちゃんと春川に、伝えるんだ。

月乃が俺の背中を押してくれたように、それに応えないと。

春川、待っててくれる?

俺の気持ちを、聞いて欲しいんだ。