だって、あんなに嫌がっていたのに。

ドイツになんて、行かないって言っていたのに。

「ごめんね、今まで黙ってて。でももう決めたんだ。」

そう言った月乃の表情はなんだかとてもすっきりして見えた。

ずっと俺がそばにいて、守ってあげないとと思えたあの弱い月乃はどこにもいなくて。

「夢ができたの。私、今まで廉に頼ってばかりで、守られてばかりだった。弱くて、泣き虫でそんな自分が嫌いだった。」

綺麗な冬の星空を見上げていう月乃。

「でももう、そんな自分は嫌なの。少しずつ変わっていく廉を見て、私も変わりたいって思った。」

俺が、変わっていっていた?

自分では気がつかなかった。

「廉は優しいから、すごく優しいから私のわがままに付き合ってくれてたんだよね。でももういいよ。」

そして月乃の手が俺の胸に。

「廉の中には、もう別の誰かを守りたいって思う気持ちがあるはずでしょ。私はもう一人で大丈夫。だから、廉も自分の好きなようにして。」