だけど今は違う。

こんなにも、春川のことが好きで仕方ない。

教室の隅で立花と笑い合うその笑顔を見ていたら、ますますその思いは募るばかり。

はやく月乃に言わないと。

好きな人がいるんだ。

その日の帰り道、俺は月乃に、伝えることを決心した。

いつものようにバスから降りてきた月乃。

「ねえ、廉。公園寄って行こうよ?」

話す前に、そう言われてそのまま近所の公園へ。

昔良くここで月乃と遊んだ。

砂場でままごとをしたり、ブランコに乗ったり。

「なあ、月乃。俺…」

「廉、あたし達、別れよう。」

…っ…

別れよう、月乃は、俺の目をまっすぐに見てそう言った。

その大きな目には迷いなんかなくて。

「なんで…?」

突然の発言に訳がわからなくて、思わず聞き返してしまう。

「あたしね、三学期からドイツの学校に行くことにしたの。」

ドイツの学校?

それって、まさか…

「あたし、お父さんと一緒にドイツに行くことにしたの。」