「えー!でもメロンパン、とれたよ!優芽との約束守れたからよかったよ。」

家族思いの春川。

そんなとこも、好き。

ヤバイな俺。

どんどん感情が止まらなくなってきてる。

こんなに近くにいるのに、伝えられないのがもどかしくて。

ごみ捨てに行くために二人で廊下に出て歩きはじめたる。

もう誰もいない、夕暮れの校舎に俺と春川の影が長く伸びている。

そっと横を見ると、春川も俺を見上げていて、目が合う。

恥ずかしくなって、目をそらしたけど、もう一度合わせたくなった。

だからもう一度、春川の顔を見た。

その顔はすごく赤くて、それが夕日のせいなのか、そうじゃないのか、よくわからない。

時が止まったように、見つめ合ったまま動かない、2つの影。


「藤咲君…あたし、藤咲君のことが、好きです。」

静寂を破ったのは、春川の声。

「えっ…」

何が起こったのかわからなかった。

何を言われたのか、わからなかった。