楽しそうな隼人の横顔を見ながらそんなことを考える。

こいつっていっつも馬鹿ばっかやってるけど鋭いんだよな。

「ん?なに?」

「別に。」

春川も一段落ついたようで、テントに戻ってまた楽しそうな笑顔で友達と話している。

「日菜、次萩原君出るんだよね?」

「うん、いっちゃん出るよ!」

萩原、その名前が春川の口から出るたびに、少し引っかかるような感じがする。

「萩原君、陸上部なんだよね!足速いよね!」

「萩原君って結構かっこいいよね。」

「えー、そうかな?でも足は速いよ!」

勝手に嫉妬してる。

みっともないよな。

でも俺、自分の気持ちを自分の中で認めてしまってから、もう止められそうにない。

自分でも気が付かないくらいに、春川への気持ちが自分の中で大きくなっていたんだ。

このままこの気持ちを殺したまま、月乃と付き合っていくことはできるのか。

そんなことを考えていると、いつのまにか競技は始まっていた。