苦しそうな、何か悩んでいるような。

俺の気のせいかもしれない。

そして始まった体育祭。

俺の出る200メートル走は午前中のはじめのほうだから、終わってしまえば暇になる。

だけど実行委員は暇ではなかった。

自分が出る競技が終わっても、休む暇がないくらいに動き回った。

午後の最後の競技である借り物競争が始まった時にやっと一段落がついて、応援テントに戻ることができた。

「廉!どこ行ってたんだよ!」

隼人はこういう行事にはすごく燃えるタイプだから、やけに今日はテンションが高い。

「実行委員。」

「あー、そっかそっか。で、日菜ちゃんとはどうなの?」

やっぱり、こいつは俺と春川をくっつけるために実行委員に俺を推薦したんだな。

隼人には半分感謝してるけど半分恨んでいる。

俺の思いに一番早く気がついたのも、もしかしたら隼人が一番初めだったのかもしれない。